私が温泉で何度も見た「突然の転倒」 高齢者の入浴事故と夏の注意点
私は温泉が好きで、週に3〜4回ほど近所の温泉施設へ通っています。
主人は私以上に温泉が好きで、ほとんど毎日のように通っています。温かいお湯につかっていると体の力が抜け、気持ちまでゆっくりほぐれていくようで、私にとって温泉は日々の疲れをリセットできる大切な時間です。
けれど、長く通っているうちに、高齢の方が浴室内で突然倒れる場面を何度も目にするようになりました。
以前、露天風呂から上がった高齢の女性が、室内のお風呂へ向かって歩いている途中で、力が抜けるようにスルスルとその場に倒れたことがありました。
また別の日には、サウナの中で女性が倒れ、周りにいた方たちが慌てて外へ運び出していました。
そしてつい先日も、女湯で高齢の女性が倒れ、救急車が呼ばれました。救急隊員が女性の処置をするため、入浴していた人たちは一度、露天風呂のほうへ移動することになりました。
救急車で運ばれた方が、その後どのような状態だったのかは分かりません。ただ、こうした場面を何度も目にすると、温泉やサウナは気持ちのよい場所である一方で、体調によっては思っている以上の負担になることもあるのだと感じます。
温泉やサウナで突然倒れるのはなぜ?夏の入浴で起こりやすい体の変化
入浴中に人が倒れる原因は一つとは限りません。
血圧の変化や脱水、熱中症、心臓や脳の病気、薬の影響など、さまざまな可能性が考えられます。その場の様子だけで原因を決めつけることはできず、実際には医療機関での診察が必要になる場合もあります。
温かい湯につかると、体が温まり血管が広がります。その状態で浴槽から急に立ち上がると、血圧が下がり、立ちくらみやふらつきを感じることがあります。
私が見た女性も、露天風呂から出て歩き始めた直後に倒れました。もちろん、その方が倒れた原因は分かりません。それでも、その光景を見てからは、湯船から出るときに急いで立ち上がらないことの大切さを強く意識するようになりました。
消費者庁は、高齢者の入浴中の事故を防ぐ目安として、湯温を41度以下にし、湯につかる時間を10分までにすること、浴槽から急に立ち上がらないことを呼びかけています。また、持病や前兆がない場合でも入浴中の事故が起こる可能性があるため、本人だけでなく周囲も一緒に注意することが大切だとしています。
特に夏は、温泉施設に到着するまでに汗をかいていたり、暑さで食欲が落ちていたりして、入浴前から水分が不足していることがあります。
そこから熱い湯やサウナに入ると、さらに汗をかきます。サウナの中では「もう少し入っていたい」「いつもこのくらいまで我慢している」と思うこともあるかもしれません。しかし、その日の気温や睡眠、食事、水分量によって、体の状態は毎回違います。
高齢者は暑さや喉の渇きに気付きにくいことがあるため、周囲の人が様子を見ることも大切です。環境省も、高齢者を熱中症になりやすい人として挙げ、本人だけでなく身近な人が暑さ対策を確認するよう呼びかけています。
めまい、立ちくらみ、吐き気、頭痛、動悸、強いだるさ、ぼんやりする感じなどがあれば、「せっかく温泉に来たから」と無理をせず、早めに涼しい場所で休むほうが安心です。
これからも温泉を楽しむために、私が気をつけたいこと
私は温泉が好きなので、これからも通い続けると思います。
だからこそ、怖がって温泉を避けるのではなく、その日の体調に合わせて無理をしない入り方を大切にしたいと思うようになりました。
温泉へ行く前には、喉が渇いていなくても少しずつ水分を取っておきます。入浴直前に大量の水を一気に飲むのではなく、普段からこまめに補給しておくことが大切です。
湯船から出るときは、浴槽の縁や手すりにつかまり、いきなり立ち上がらないようにします。立ち上がったあともすぐに歩き出さず、ふらつきがないかを確認してからゆっくり移動します。
温泉の床は滑りやすいため、露天風呂と室内風呂を行き来するときも急がないようにしたいものです。
食後すぐや飲酒後の入浴も避けたほうが安心です。消費者庁は、飲酒後だけでなく、睡眠薬や精神安定剤などを服用した後の入浴にも注意を呼びかけています。
もし温泉施設で誰かが倒れたときは、無理に一人で動かそうとせず、まず施設のスタッフを呼ぶことが大切です。反応がない、呼吸の様子がおかしい、受け答えができないといった場合は、周囲と協力しながら119番通報や施設の救命設備の使用につなげる必要があります。
私自身、以前なら少しくらいふらついても、「温泉で体が温まったからかな」と軽く考えていたかもしれません。
けれど、目の前で高齢の方が何度も倒れる姿を見てからは、
「今日は少し疲れているな」
「今日は汗をたくさんかいたな」
「いつもより体が重い気がするな」
そんな日は、サウナをやめたり、湯船につかる時間を短くしたりするようになりました。
好きな温泉を長く楽しむためにも、頑張って長く入る必要はないのだと思います。
高齢の方はもちろん、ご家族と温泉へ行く方も、お互いの様子をさりげなく見ながら、その日の体調に合った無理のない温泉時間を楽しみたいですね。
参考資料
消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」
環境省「熱中症予防情報サイト」




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