親が何度も同じ話をするように…。年齢のせいなのか気になりました
母が昨日の電話で聞いたことを、今日もう一度聞いてきました。
最初は、それほど気にしていませんでした。
昔の思い出話を繰り返すこともありますが、「きっとこの話が好きなんだろうな」と思い、私も一緒に笑いながら聞いています。
けれど、昨日話したばかりのことを翌日にもう一度聞かれると、
「年齢による物忘れなのかな」
「もしかして、認知症の初期症状なのかな」
と、少し心配になることがあります。
父には今のところ目立った変化はありませんが、母には時々このようなことがあります。
もちろん、同じ話や質問を繰り返したからといって、それだけで認知症と決まるわけではありません。
では、年齢による物忘れと認知症による物忘れには、どのような違いがあるのでしょうか。
離れて暮らす親の小さな変化が気になり始めたことをきっかけに、私なりに調べてみました。
親が同じ話を繰り返すのは年齢のせい?認知症との違い
年齢を重ねると、誰でも以前より物忘れが増えることがあります。
人の名前がすぐに出てこなかったり、物をどこに置いたか分からなくなったりしても、しばらくして思い出せることがあります。
また、自分が好きな思い出や印象に残っている出来事は、何度でも話したくなるものです。
実際に母も、昔の旅行や家族の出来事を話す時は、本当に楽しそうです。
「その話、この前も聞いたな」と思うことはありますが、母がうれしそうなので、私も初めて聞くような気持ちで相づちを打つことがあります。
このように、同じ思い出を繰り返し話していても、本人が「前にも話したね」と分かっている場合は、必ずしも強く心配する必要はないようです。
私自身も気になって調べてみると、厚生労働省や国立長寿医療研究センターでは、加齢による物忘れと認知症による物忘れには違いがあると説明されていました。
加齢による物忘れでは、体験した出来事の一部を思い出せないことがあります。
例えば、昨日の夕食に何を食べたか思い出せなくても、「夕食を食べた」という出来事そのものは覚えています。
一方、認知症による物忘れでは、食事をしたこと自体を忘れるなど、体験全体が記憶から抜け落ちる場合があるとされています。
ただし、この違いだけで家庭内で判断することはできません。
体調や睡眠不足、疲れ、薬の影響などによっても、記憶力や集中力が低下することがあります。
大切なのは、一度の物忘れだけを見るのではなく、以前と比べて変化が増えているか、日常生活に困る場面が出ているかを見守ることなのだと思います。
認知症のサインとは?家族が見守りたい変化
同じ質問をすることだけでなく、ほかの変化も重なっている場合は、少し注意して様子を見る必要があるかもしれません。
例えば、次のような変化です。
このような変化はありませんか?
☑ 数分前や数時間前に聞いたことを何度も質問する
☑ 約束したこと自体を忘れることが増えた
☑ 薬を飲んだかどうか分からなくなる
☑ 財布や鍵などの探し物が以前より増えた
☑ 同じ物を何度も買ってくる
☑ 日付や曜日が分からなくなることがある
☑ 慣れている道で迷うようになった
☑ お金の管理や手続きが難しくなった
☑ 趣味や外出に興味を示さなくなった
☑ 以前より怒りっぽくなったり、疑い深くなったりした
国立精神・神経医療研究センターでは、短時間前の出来事を忘れる、同じことを何度も言ったり聞いたりする、約束を忘れる、慣れた道で迷うといった変化を認知症の症状例として紹介しています。
私が今回調べていて少し驚いたのは、物忘れだけでなく、性格や気持ちの変化が表れることもあるという点でした。
国立長寿医療研究センターによると、以前は温厚だった人が怒りっぽくなる、趣味への関心がなくなる、身だしなみを気にしなくなる、物を盗まれたと思い込むといった変化が見られる場合もあるそうです。
ただし、気分の落ち込みやイライラ、意欲の低下は、認知症以外にも高齢者のうつ状態や体調不良などが関係していることがあります。
「性格が変わったから認知症だ」と決めつけることはできません。変化が続いているか、生活に支障が出ているかを見ながら、必要に応じて専門家へ相談することが大切です。
離れて暮らしている場合は、親の毎日の様子をすべて確認することはできません。
そのため、電話をした時に会話がいつも通り続くか、最近困っていることはないか、薬やお金の管理ができているかなどを、尋問のようにならない範囲で自然に聞いてみるのもよさそうです。
同じ質問をされた日時や内容、生活上の変化を簡単にメモしておくと、家族同士で状況を共有したり、医療機関へ相談したりする際にも役立つかもしれません。
気になる変化が続く場合の相談先としては、かかりつけ医、物忘れ外来、地域包括支援センターなどがあります。本人をすぐに病院へ連れて行くのが難しい場合でも、まず家族だけで相談できる場合があります。
母が同じ話をした時、以前の私は心の中で「その話、前にも聞いたよ」と思うことがありました。
けれど、好きな思い出をもう一度話したいだけなのかもしれません。
これからは母が楽しそうに話していたら、
「その話、本当に好きなんだね」
と笑いながら聞ける時間を大切にしたいと思います。
その一方で、昨日の出来事を忘れることが増えたり、暮らしの中で困る場面が重なったりした時には、「年齢のせいだから」と決めつけず、家族で相談していきたいです。
必要以上に怖がるのではなく、いつもとの違いに静かに気付くこと。
それが、離れて暮らす私にできる家族の見守りなのかもしれません。
今回参考にした資料
厚生労働省「認知症ケア法―認知症の理解」
国立長寿医療研究センター「認知症とMCI」「もの忘れと認知症」
国立精神・神経医療研究センター「認知症」
政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
※本記事は公的機関などが公開している情報を参考に作成しています。物忘れや性格の変化にはさまざまな原因があり、症状の表れ方には個人差があります。本記事だけで認知症かどうかを判断することはできません。気になる変化が続く場合や日常生活に支障が出ている場合は、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへご相談ください。




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