高齢者が利用できる補助金・支援制度一覧|介護・医療・住まいの負担を減らす制度
親が年齢を重ねるにつれて、医療費や介護費、暮らしを支えるためのお金が気になり始める方も多いのではないでしょうか。
私の両親は韓国で暮らしています。韓国の高齢者向け支援制度について調べているうちに、「日本ではどのような制度が用意されているのだろう」と気になったことが、この記事を書くきっかけになりました。
調べてみると、介護保険だけではなく、医療費、住宅改修、福祉用具、見守り、移動支援など、生活のさまざまな場面を支える仕組みがあることが分かりました。
ただし、制度の名前が難しかったり、住んでいる地域によって内容が異なったりするため、どこから確認すればよいのか迷ってしまうこともあります。
この記事では、日本で高齢者やその家族が確認しておきたい主な補助金・支援制度を、全体像が分かるようにまとめました。
高齢者が利用できる主な補助金・支援制度
介護保険で受けられるサービス
65歳以上の方は、介護が必要な状態になったとき、要介護認定を受けることで介護保険サービスの対象になることがあります。
訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなどが代表的です。
介護保険は、単に施設へ入居するための制度ではありません。自宅での生活を続けるために、家事や入浴、移動などを支えてもらう方法もあります。
「まだ介護というほどではない」と感じる段階でも、生活上の困りごとが増えてきたときは、地域包括支援センターへ相談すると、必要な支援につながることがあります。
医療費の負担を軽くする高額療養費制度
通院や入院が増えると、医療費の負担も大きくなります。
高額療養費制度は、1か月に医療機関や薬局で支払った自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限を超えた場合に、その超過分が支給される仕組みです。
厚生労働省によると、上限額は一律ではなく、年齢や所得区分などによって変わります。入院や手術を予定している場合は、加入している健康保険へ早めに確認しておくと安心です。
また、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合は、医療費控除の対象になることもあります。高額療養費制度と医療費控除は別の仕組みなので、それぞれの条件を確認する必要があります。
手すりや段差解消に使える住宅改修費
高齢になると、それまで気にならなかった玄関の段差や浴室の床、階段などが転倒の原因になることがあります。
要支援・要介護認定を受けている方が一定の条件を満たした場合、介護保険を使って手すりの取り付け、段差の解消、滑りにくい床材への変更などを行えることがあります。
厚生労働省が定める住宅改修費の支給限度基準額は、原則として一人につき20万円です。実際に保険から支給される割合は所得に応じて異なり、自己負担は原則1~3割となります。工事を始める前の申請が必要になることが多いため、先にケアマネジャーや市区町村へ相談することが大切です。
介護ベッド・車いす・歩行器などの福祉用具
介護ベッドや車いす、歩行器などは、すべて自分で購入しなければならないわけではありません。
身体の状態や要介護度などの条件に合えば、介護保険を利用してレンタルできることがあります。必要な期間だけ借りられるため、購入費を抑えられるだけでなく、身体の状態が変わったときに用具を見直しやすいことも利点です。
一方、入浴用のいすやポータブルトイレなど、他の人が使用したものを再利用しにくい特定福祉用具は、購入費の支給対象になることがあります。
特定福祉用具の購入費は、同一年度で10万円が支給限度額です。自己負担が1割の方であれば、対象となる購入費のうち最大9万円が介護保険から給付される仕組みです。対象商品や購入先には決まりがあるため、購入前に確認しておきましょう。
補聴器に使える助成制度
補聴器は高額になることもありますが、高齢で聞こえにくくなったという理由だけで、全国一律の補助を受けられるとは限りません。
身体障害者手帳の交付対象となり、補装具費支給制度の条件を満たした場合は、補聴器の購入や修理にかかる費用の支給を受けられることがあります。
厚生労働省によると、この制度の利用者負担は原則1割ですが、世帯所得に応じた負担上限も設けられています。申請先は市区町村で、判定や医師の意見が必要になる場合があります。
このほか、身体障害者手帳を持っていない高齢者を対象に、自治体独自の補聴器購入助成を設けている地域もあります。ただし、対象年齢、聴力の基準、助成額などは自治体ごとに異なります。
一人暮らしを支える見守り・配食サービス
一人暮らしの高齢者に対して、自治体が緊急通報装置、安否確認、配食、電話による見守りなどを行っていることがあります。
たとえば、一定時間動きがないと家族や見守り先へ連絡する機器や、食事を届ける際に本人の様子を確認するサービスなどです。
全国共通の一律制度ではないため、市区町村の高齢者福祉担当窓口や地域包括支援センターで確認する必要があります。
自治体のホームページを見る際は、「高齢者 見守り」「緊急通報」「配食サービス」などの言葉に、お住まいの市区町村名を加えて検索すると見つけやすくなります。
通院や買い物を助ける移動支援
運転免許を返納したあとや、足腰が弱くなったときは、通院や買い物の移動手段が大きな悩みになります。
自治体によっては、福祉タクシー券、乗合タクシー、コミュニティバスの割引、外出支援サービスなどを用意していることがあります。
ただし、高齢であることだけでは対象にならず、要介護認定、障害者手帳、所得、居住地域などの条件が設けられているケースもあります。
支援制度は実際にどれくらい家計の助けになる?
「補助金といっても、少し安くなる程度ではないか」と思う方もいるかもしれません。
制度によって差はありますが、条件に合えば家計への負担を大きく減らせるものもあります。
たとえば、住宅改修では20万円を基準として介護保険が適用され、自己負担が1割の方なら、対象工事20万円に対する自己負担は原則2万円です。
特定福祉用具の購入では、同一年度10万円を上限として保険給付を受けられるため、入浴用品やポータブルトイレなどをそろえる際の負担軽減につながります。
高額療養費制度は、手術や入院などで医療費が高くなった月に、自己負担が一定額を超えないようにする制度です。年齢や所得によって上限は異なりますが、状況によっては数万円以上の差になることもあります。
一方、補聴器やタクシー、見守りサービスの助成は、地域によって金額や条件が大きく異なります。
つまり、「高齢者なら誰でも一律に同じ金額をもらえる」というものではありません。それでも、必要な制度を知っているかどうかで、実際に支払う金額が変わる可能性はあります。
こんなときは一度相談してみましょう
次のような変化があったときは、利用できる制度がないか確認してみるとよいでしょう。
☑ 自宅の階段や浴室で転びそうになった
☑ 通院や買い物へ一人で行くことが難しくなった
☑ 介護ベッドや車いすが必要になった
☑ 入院や手術で医療費が高くなりそう
☑ 聞こえにくさが生活に影響し始めた
☑ 一人暮らしの親の安否が心配
☑ 家族だけで介護を続けることに不安を感じる
「どの制度に当てはまるのか分からない」という段階でも、相談して構いません。
介護に関する相談は、地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャーなどが主な相談先です。医療費については、加入している健康保険や病院の医療ソーシャルワーカーに相談できることもあります。
申請や購入の前に確認しておきたいこと
支援制度には、申請前に購入や工事をすると対象外になるものがあります。
特に住宅改修や福祉用具、補聴器などは、先に自費で契約してから相談するのではなく、見積もりや購入の前に窓口へ確認することが重要です。
また、同じ名前の制度でも、自治体によって対象者や所得条件、助成内容が異なることがあります。友人や親戚が使えた制度が、自分の地域でも同じ条件で使えるとは限りません。
確認するときは、次の内容を伝えられるようにしておくと相談が進みやすくなります。
・本人の年齢と住所
・要支援・要介護認定の有無
・身体障害者手帳の有無
・現在困っていること
・購入や工事を予定しているもの
・すでに見積もりや契約をしているか
支援制度を知ることが負担を減らす第一歩
高齢者向けの支援は、介護だけに限られません。
医療費、住宅改修、福祉用具、補聴器、見守り、移動など、日常生活のさまざまな困りごとに対応する制度があります。
すべての制度が誰にでも当てはまるわけではなく、申請したから必ず支援を受けられるとも限りません。それでも、何も知らずに全額を自己負担する前に、一度相談してみる価値はあると思います。
私も韓国に暮らす両親の制度を調べたことをきっかけに、日本の仕組みを確認してみましたが、思っていた以上に支援の範囲が広いと感じました。
親のためだけでなく、自分自身のこれからを考えるうえでも、まずは住んでいる地域にどのような制度があるのか知っておくと安心です。
制度は変更されることもあるため、実際に申請するときは、厚生労働省や国税庁、市区町村などの最新情報をご確認ください。
参考資料
・厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
・厚生労働省「介護保険における住宅改修」
・厚生労働省 介護サービス情報公表システム「特定福祉用具販売」
・厚生労働省「補装具費支給制度の概要」
・国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」




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