夜中に何度も目が覚めるのは歳のせい?高齢者に多い夜間頻尿
以前、家族で旅行に行ったときのことです。
部屋に入ると、母がこんなことを言っていました。
「私はトイレに近いほうのベッドで寝るね。」
理由を聞いてみると、
「夜中に何度かトイレに行くことがあるから、近いほうが安心なのよ。」
とのことでした。
そのときは、
「そういうものなのかな」
くらいに思っていたのですが、後になって調べてみると、年齢を重ねるにつれて夜中のトイレに悩む方は決して珍しくないことが分かりました。
「寝る前に水を飲みたいけれど、夜中のトイレが心配」
「一度起きると、そのあと、なかなか眠れない」
「最近は毎晩のように2回、3回とトイレに起きている」
このような悩みを感じている方も少なくないようです。
夜中に何度も起きると、睡眠不足になるだけではなく、暗い部屋や廊下を歩くことで転倒する心配もあります。
また、夜中のトイレが気になって、水分を控えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、高齢者に多い夜間頻尿の原因と、日常生活の中で取り入れやすい対策について調べてみました。
夜中にトイレで起きる「夜間頻尿」とは
夜間頻尿とは、夜、眠っている途中に排尿のため1回以上起きる状態を指します。
日本泌尿器科学会では、夜間の排尿回数が1回でも夜間頻尿に当てはまるとしていますが、実際に治療や対策が必要かどうかは、本人がどの程度困っているかによっても変わるようです。
1回起きてもすぐに眠れる方もいれば、2回以上起きることで睡眠不足や昼間の眠気につながる方もいます。
「回数だけで判断する」のではなく、
・朝まで眠れず、疲れが残る
・昼間に眠くなってしまう
・夜の移動に不安を感じる
・トイレが気になり、外泊を避けるようになった
といった生活への影響も含めて考えることが大切です。
特に高齢者の場合、夜間に暗い廊下や階段を歩くことが転倒のきっかけになる場合があります。
夜間頻尿は単にトイレの回数が増えるだけの問題ではなく、睡眠や日中の体調、安全な暮らしにも関わる症状といえそうです。
高齢になると夜間頻尿が増えやすいのはなぜ?
夜間頻尿の原因は一つではなく、いくつかの変化が重なって起こることがあると考えられています。
まず考えられるのが、夜につくられる尿の量の変化です。
通常、夜間は「抗利尿ホルモン」というホルモンの働きによって、昼間よりも尿の量が少なくなるとされています。
しかし、加齢によってこの働きが変化すると、夜になっても尿が多くつくられる場合があるようです。
また、膀胱にためておける尿の量が少なくなったり、少量でも強い尿意を感じやすくなったりすることもあります。
膀胱が自分の意思とは関係なく収縮する「過活動膀胱」や、男性に多い「前立腺肥大症」などが関係するケースもあります。
さらに、睡眠の変化も無関係ではありません。
年齢を重ねると眠りが浅くなり、ちょっとした物音や体の違和感で目が覚めやすくなる傾向があります。
そのため、
「尿意があるから目が覚めた」
という場合だけではなく、
「先に目が覚めて、そのときに尿意を感じた」
ということもあるようです。
そのほか、足のむくみ、高血圧、糖尿病、心臓や腎臓の病気、睡眠時無呼吸症候群などが影響する場合もあるとされています。
急に回数が増えたときや、昼間も頻繁にトイレへ行くときは、年齢だけのせいだと決めつけないほうが安心です。
夜間頻尿が気になるときに見直したい生活習慣
夜中のトイレが心配だからといって、水分を極端に減らすことは避けたほうがよいでしょう。
特に夏は、脱水症状や熱中症の危険が高くなります。
大切なのは、一日を通して必要な水分を取りながら、夕方以降の飲み方を少し工夫することです。
例えば、次のような方法が紹介されています。
・水分は日中にこまめに取る
・就寝直前の一気飲みを避ける
・夕食後のコーヒーや濃いお茶、アルコールを控えめにする
・塩分の多い食事を取りすぎない
・夕方に軽い散歩や体操をする
カフェインやアルコールには尿を増やす作用があるため、夕方以降に多く取ると、夜中のトイレにつながることがあります。
また、夕方になると足がむくむ方は、足にたまった水分が横になったあとに血液へ戻り、夜間の尿として排出される場合があります。
無理のない範囲で歩いたり、日中に足を少し高くして休んだりすることで、むくみ対策につながることもあるようです。
ただし、心臓や腎臓の病気がある方、医師から水分量について指示を受けている方は、自己判断で飲み方を変えず、かかりつけ医へ相談することが大切です。
医療機関へ相談したほうがよい目安
夜間頻尿は生活習慣を見直すことで和らぐ場合もありますが、病気が関係していることもあります。
次のような症状がある場合は、泌尿器科やかかりつけ医に相談してみてもよいでしょう。
・以前より急にトイレの回数が増えた
・尿が出にくい、時間がかかる
・排尿後も尿が残っている感じがする
・尿に血が混じる、排尿時に痛みがある
・強いのどの渇きや体重減少がある
・足のむくみや息苦しさが気になる
・いびきが大きく、昼間の眠気が強い
受診する際は、トイレに行った時間や回数、飲んだ水分の量を2~3日ほど記録しておくと、原因を考える手がかりになることがあります。
「年齢のせいだから」と我慢せず、困っていることをそのまま医師に伝えることが大切です。
まとめ
高齢者の夜間頻尿には、夜につくられる尿の量、膀胱の変化、睡眠の浅さ、足のむくみ、病気など、さまざまな原因が関係している可能性があります。
夜中のトイレを減らしたいからといって、水分を極端に控えるのは心配です。
日中にこまめに水分を取り、就寝前の飲み方や夕食の塩分、カフェインなどを少し見直すことが、最初の一歩になるかもしれません。
朝までゆっくり眠れた日は、それだけで体も気持ちも少し軽く感じるものです。
夜間頻尿を「年齢だから仕方がない」と決めつけず、自分に合った無理のない対策を探していけると安心ですね。
症状が急に変わった場合や、日常生活への影響が大きい場合は、早めに医療機関へ相談してみてください。
【参考資料】
・日本泌尿器科学会「夜間頻尿」
・日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会「夜間頻尿診療ガイドライン」
・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド」
・政府広報オンライン「高齢者の転倒予防」




コメント
コメントを投稿